達人の心得其の二 おくすりの内容を確認するべし。

 達人の心得其の二 次に、おくすりを貰ったら本当に『いつものおくすり』なのかをよく確認してください。

 お年寄りの多くは慢性疾患を持っていて『いつものやつ』で通るおくすりがあるようです。
 お医者様が診察をした結果でおくすりが変更になる場合もありますが、その場合は必ずお医者様は『おくすりが変わります。』と伝えるはずです。
 何も言われないのにおくすりが代わったら要注意。おくすりの達人はこんなところも見逃してはいけません。
 その場合は薬局の人に『おくすりが代わるって聞いてないからちょっと見てくれる?』って聞いてみましょう。
 薬局で間違えたのか、お医者様が『おくすりが変わる』って言い忘れたのか、はたまた『おくすりが変わる』って言われたのに聞いてなかっただけなのか? 解決がつけば安心しておくすりが飲めますからね。

おくすりの達人になろう  また、『いつもは2種類を飲んでいたのに、今日はひとつしか出ていない』とか、『いつもの湿布、毎月来ているのにお医者様はすぐに忘れる』なんてことも良くあります。
 患者さんにとっては毎月会うおなじみのお医者様でも、お医者様にとっては毎日50人も診察するうちの一人、ましてや月に1回の診察では次に会うのは50×20日で1000人後、いつもの湿布を出し忘れたとしても無理からぬことかもしれません。

 おくすりを飲んで様子はどうなのか、変わったことは無いのか、風邪気味だとか、腰が痛いとか、お医者様の専門以外のおくすりも貰っているのなら、いつもの湿布をいただきたいとか、目薬も忘れずにください、とか、必要なことはこちらからきちんとお医者様に伝えたほうが良さそうですね。
 また、いつものおくすりがもらえたとしても、自分がいつも飲んでいる服用法で間違いないのかおくすりの袋を良く見て確認してください。次の予約日まで足りる日数が出ているのかも確認する必要がありますね。
 おくすりの達人の心得の其の二は『いつものおくすりと言って安心しないで、中身を必ず確認するべし』ですね。

 達人の心得其の三 いつ、いくつ飲むのかを確認するべし。

 達人の心得其の三 おくすりをもらったらどんな効果のおくすりか、いつ、いくつ飲むのか確認しましょう。

おくすりの達人になろう  風邪を引いたり、階段から転げたりしたときのおくすりは『いつものヤツ』ってわけにはいきません。風邪薬や痛み止めがいつものヤツですむようならそれはそれで心配です。

 おくすりの飲み方はおくすりの袋に書いてあります。でも、結構これが不親切でわかりづらいんですね。
 まずはおくすりを飲む時間、1日3回、毎食後っていったい何時に飲むんでしょう? 食事の時間は人によって違います。
 『私は朝が遅いから、10時ごろに朝ごはんを食べて、5時ごろに夕ご飯を食べて、10時に寝てしまいます。』って人では毎食後は2回になっちゃいます。普段から当たり前に使ってる言葉ですが、薬の達人はこんなところにもこだわります。

 おくすりは1日に必要な量が決まっています。また、飲んだおくすりは体の中で代謝されて多くはおしっことして体の外に排泄されますが、つまり、おくすりは飲んでから代謝され体から出るまでの時間だけ効果があることになります。 多くの薬は8〜12時間ぐらいで効果が弱くなってしまいます。
 だから、朝食後に飲んだ薬は昼過ぎには効き目が弱くなり、お昼に飲んだ薬は夜までで効き目が弱くなります。夜飲んだおくすりは寝てる間も効いていて朝まで効果が続くと。こうなります。
 お昼を食べないからおくすりを飲まないってのはダメなわけで、腰を打って痛み止めを貰ったのに朝飲んだだけでお昼は食事をしなかったから飲まなかった、そしたら夕方にはまた痛くなってきた。って、これは自業自得といわれてしまいます。
 ましてや、血圧やコレステロールの薬ではお昼に飲み忘れると夕方には血圧が高くなっちゃうんじゃ心配ですよね。
 1日3回飲みなさいっておくすりにはやっぱり3回きちんと飲まないといけない意味があるようです。

 今、ごく一般的な人は1日に3回の食事を取ります。食事を忘れちゃう人はあんまりいませんから、ご飯を食べたらおくすりを飲むってことも忘れにくくなります。 飲み忘れにくいのが食後の服用なので、朝とか夕とかの食後に飲む場合が一番多いようです。
 では、お昼の分は食事をしなくても飲んだほうが良いのでしょうか?
 効き目の続く時間からすると飲まなくてはなりませんが、風邪薬や解熱、鎮痛薬など空腹時に飲むと胃にこたえる物もあります、また、風邪などでどうしても食欲の無い場合もあるでしょう。 そんな場合はクッキーや軽食など少しでも食べてからおくすりを飲むようにしてください。 牛乳も良いのですが、おくすりによっては牛乳と飲むと効果のなくなってしまうものもありますから、お医者様か薬剤師さんによく確認して飲んでください。

 多くのおくすりは食事とは関係なく朝、昼、夕と時間を決めて飲むほうが良いようですが、食事の後に飲むことは胃への負担も少ない、飲み忘れなくって良い。ということですね。
 1日2回とか、1回の指示のおくすりはどうでしょう。 このおくすりは朝飲めだとか、夕食後に飲めだとか、寝る前だとか、起きてすぐだとか、いろいろうるさい注文がつくおくすりがあります。
 これは効き目が長く続くように作ってあったり、1日のうちで特定の時間にだけ効果がある必要から指示されます。うるさい注文ですがこれもみんな意味のあることなんですね。
 たとえば人の体には自然治癒力といって、傷や病気を治す力があります。この大きな原動力となる炎症を抑えて熱を下げる働きのあるホルモンは1日中ずっと出っ放しではなく、朝に多く出ることがわかっています。
 血圧だって、一日のうちで朝が一番高いことも知られています。 逆にコレステロールは夜の間に作られますし、喘息の発作は多くが夜中から明け方に起こります。
 これらの症状を緩和するおくすりは一番必要な時間帯に効果が出るように朝、もしくは夕食後や寝る前に1回だけ飲むように指示されるのです。
 不眠症の治療薬なんかも朝から飲んだんじゃしょうがないですしね。

おくすりの達人になろう  でも、おくすりによっては食事をした後だと飲んでも吸収の悪い場合があったり、食べたものによってはおくすりの働きを阻害されてしまう場合もあります。
 漢方薬や胃腸の働きを整えるおくすりはあまり胃に負担がかかりませんし、胃の中に何も無いときのほうが良いので、食前に服用が多いようです。

 また、糖尿病のおくすりで食べたものから糖分を吸収して血液中の血糖値が急に上がるのを防ぐおくすりは食べ物よりも先に胃に入る必要があり、効き目が早いので、必ず食直前に飲むように指示される場合があります。
 つまり、おくすりによっては飲む回数や時間ばかりでなく、食後や食前、もしくは食間などと細かく指示されている場合がありますが、この指示も意味があるわけですからきちんと守る必要があるってことです。

朝食後  朝ごはんの後30分ぐらいを目安に服用
毎食後  1日3回、朝昼夕の食後30分ぐらいを目安
食 前  ご飯の前30分ぐらい..10分前でも5分前でも可
食 間  ご飯とご飯の間、だいたい食後2時間ぐらい
就寝前  寝る30分ぐらい前..寝る時間なんてわかんないって言わないように

 さて、先ほどのおくすりの袋の話に戻りますが、おくすりの達人としてはこの辺のことを良く考えて、おくすりの服用時点と回数を、そして実際におくすりの袋に入っているおくすりを確認してください。
 新しいおくすりを貰って家に帰ったらおくすりの袋には『1日2回服用2種類』と書いてあるのに中には3種類のおくすりが入っていてしかもみんな数が違う、何てことでは正しくおくすりが飲めるはずもありません。
おくすりを飲む場合の時間に関する注意はもうわかっているはずですから、

 おくすりの達人の心得の其の三は『おくすりを貰ったら、飲む時間や回数などを確認し、必要な数だけおくすりがあるのかを確認するべし』です。


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