達人の心得其の六 最近、病院や薬局でくれるおくすりの情報の紙、このおくすりの情報を活用しよう。
最近ではおくすりの情報を一覧表にまとめた紙をくれる病院や薬局が多いです。
このおくすりの情報にはおくすりの名前と何に効くのか、注意は何かがわかりやすく書いてあります。が、おくすりはいろいろな使い方をしますので、あなたの病気のことが必ず書いてあるとは限りません。
また、最近はお年寄りを中心に健康手帳やおくすりの手帳を配布して、もらったおくすりの名前や日数を記載するようになっています。
おくすりの情報もおくすり手帳も飲んでいるおくすりの情報を患者さんや他の医療機関のお医者様に伝えるという同じ目的で作られました。
ただし、おくすり手帳は日を追って投与されたおくすりが記載されていますので、多くの医療機関で同じおくすり手帳に記載することで他の医療機関で投与されているおくすりと、今回自分が処方しようとしているおくすりとの飲みあわせや重複を確認することが出来ますので、お医者様や薬局の薬剤師が患者さんのおくすりをチェックしてくれるための情報が書いてあるのです。
ですから、いつも持ち歩いて、お医者様や薬局でおくすりをもらうときには見てもらって、飲みあわせや重複を確認してもらったうえで、新しいおくすりのことを記載してもらいます。
おくすりの情報はおくすりを飲む患者さん本人、もしくはそのご家族の方に呼んでいただきたいもので、どんな作用のおくすりを飲むのか、そのおくすりを飲む必要があるのか、飲まないとどうなるのか、飲んだときに注意することは何か、などが書いてあります。
このおくすりの情報を読んで自分で飲むおくすりの作用はきちんと確認してください。先ほども言いましたが、おくすりの達人たるもの、自分で飲んでいるおくすりのことぐらい知っていなくてはなりません。 このおくすりの情報をよく読んでおくすりの手帳と一緒に活用することが必要です。
『私は血圧が高いから、血圧を下げる作用のおくすりを飲む』とか、『コレステロールが高いので、コレステロールを下げるためのいおくすりを飲む』のように、この薬を飲む必要があることが分かっていれば飲み忘れもなくなるでしょう。
また、このおくすりの情報には副作用のことも書いてあります。
副作用と言うと怖くなって、『副作用が出るような薬は飲まない』と言われてしまいがちですが、『もし副作用が出るとしたらこんな症状だからもし思い当たるようなら早めにお医者様に申し出てね。』と言うことが分かっていれば副作用もひどくならないうちに対応することができるので、安心して服用することができるでしょう。
副作用には例えば『この風邪薬を飲むと眠気が出ることがあります。』とか、『この痛み止めは胃を荒らすことがありますので悪心・嘔吐等の症状が現れることがあります。』などがあります。よく聞く文面でしょう。
中には『この降圧剤を服用することで顔面の腫脹等が起こることがあり、舌や喉の浮腫等重篤な場合は呼吸困難を起こす恐れがある』なんてちょっと怖いものまであります。
いままでにこの薬を服用した人で、こんな症状が出た人が何人かいました。と言う情報を製薬会社は副作用情報として教えてくれているわけですから、『多分大丈夫だと思うけど、もし、こんな症状が出たら、飲むのを中止してお医者様に申し出てね。今までには1000人で3人程度が出ています。』と、言うわけです。出るか出ないか分からない副作用を心配して必要なおくすりを飲まなくなってしまうことは病気を治すのではなく、悪化させてしまいかねません。
また、『もし副作用が出るとしたらこんな症状だからもし思い当たるようなら早めにお医者様に申し出てね。』と言うことが分かっていれば副作用もひどくならないうちに対応することができるので、副作用を知らずに服用するよりも安心して服用することができるでしょう。
先ほどの呼吸困難の例では『服用後に唇や喉等にむくみや腫脹を感じた場合にはすぐにお医者様に連絡を取ってください。腫脹は一過性のものですが、喉等の腫脹により呼吸が制限される場合には気道の確保等が必要になりますので、救急病院等へ連絡してください。』と書いてありました。
確かに一過性でしばらくすると治る副作用でもその間呼吸ができないのではとんでもありません。こんな例はそうそうはありませんが、この事を知っていれば唇が腫れた時点で救急車を呼べば大丈夫でしょう。
現に、『風邪薬や鼻水の薬を飲んだから車の運転は控えよう』とか、『痛み止めを飲んだから胃が痛くならないように一緒に胃薬を飲もう』などはよく言われますがこれは十分に副作用の情報を活用している例といえるでしょう。
また、おくすりの情報には他のおくすりとの飲み合わせも書いてあります。
副作用はひとつのおくすりを飲むことで期待しない効果が現れることを言いますが、飲みあわせや相互作用とは、いくつかのおくすりを同時に飲むことで一つ一つのおくすりを飲んだのでは現れない副作用が現れたり、どちらかのおくすりの効き目が弱くなったり、逆に強くなりすぎたりすることを言います。
同じ作用のおくすりはいろいろありますので、他のおくすりに変更することで、悪い飲みあわせを避けることができます。同じ病院で処方される場合やひとつの薬局から出されたおくすりならばそれぞれのおくすりの作用と、飲みあわせを確認してくれますが、A病院で貰った血圧の薬とB医院で貰った痛み止めとの相互作用は教えてくれません。
これこそおくすり手帳の出番です。 他の病院でもらっているおくすりがわかるので今回お医者様が処方するおくすりとの飲みあわせを事前に確認することが出来、安全なおくすりを飲むことが出来るのです。
先日の阪神大震災のときに怪我人に使う抗生物質や痛み止めなんかは周りの医療機関から送られたのですが、このときお年寄りの被災者も多く、それまでずっと飲んでいたおくすりの名前がわからない。
カルテは燃えちゃったし、主治医だってどこにいるかわからない。
確か血圧のおくすりを飲んでいたけど、全部で3つあった。なんて状況が少なからずあり、正しくおくすりを投与することができなかったようです。
また旅行や主張先で急に病気や怪我をしたときにも患者さんが自分のおくすりを知っているとお医者様はスムーズにおくすりを指示することができます。
飲んでいるおくすりがわかっていればおくすりの飲みあわせなんかも安心ですしね。
ただ、本人だけが自分のおくすりを知っていても怪我や病気で意識不明になってしまってはお医者様に伝えることができません。
出来るだけ紙に書いておいて、家族にも伝えておくとよいですね。 その点、このおくすりの情報やおくすり手帳はわかりやすくて便利ですから活用するとよいでしょう。
ところで、このおくすりの飲みあわせですが、おくすり同士だけでなく、食べ物や飲み物にも飲み合わせがあるのをご存知ですか?
このおくすりの情報にも一緒に食べてはいけない食べ物や飲み物のことが書いてあります。結構、えっ何でこんなものがってものもありますのでよく確認しておきましょう。
おくすりの達人の心得の其の六は『おくすりの情報を活用するべし。』です。これは本人も家族も必要ですよ。
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